大量生産、大量消費の時代が終わる

今まで家電や自動車は新商品が出るたびにテレビでCMが流れ、話題になり、需要が伸びて、いずれ陳腐化し、また新商品が出る、、、といったビジネスモデルが主流だった。
第3次産業革命まではハードでいかに魅力的な商品を作るか!が最大の注目点だったからだ。
しかし、今は第4次産業革命の真っ只中。
今までの開発スピードでは他社に勝てない。
そこで注目されたのが、柔軟な開発ができるソフトウェアだ。
SDGsやESG投資の時代背景もあり、大量に作って、大量に消費し、大量に破棄すればいいという時代ではない。
ソフトウェア・ファーストとは
今まではハードを決めてから、ソフトウェアをどうするかを設計してきた。
つまり、ハードウェア・ファーストだった。
だが、前述したようにハードをどんどん更新しないといけないというのは不便であろうし、環境にも良くないのは、みんな、なんとなくわかっている。
それではソフトウェアをどんどん更新していく仕組みに変えてしまうのはどうだろうか。
ソフトウェアを決めて、それに合ったハードを決めていく。
それがソフトウェア・ファーストだ。
トヨタ自動車はお堅い?
大手のIT企業に比べると、歴史の長い自動車メーカーは頭が固いイメージは無いだろうか。
仲間を作りたがらないし、ひと昔のビジネスモデルで当分やっていけると思っていないだろうか。
私は『豊田章男社長』に代わってから、トヨタのイメージは変わってきたように思える。
仲間づくりをするし、自動車メーカーからモビリティ企業へ変革しようとしている。
トヨタイムズを社外に発信しているのも面白い。
私は将来のモビリティを調べているうちに、トヨタ、豊田章男社長に興味を持った。
すると様々な課題を抱えながらも、チャレンジする、そして人を大切にするのが豊田章男という人なんだということを知ることになった。
豊田章男 東洋経済新報社 著:片山修
過去⇒現在⇒未来と時系列で掲載されており大変わかりやすくまとめられている。
豊田家のバトンタッチについても掲載されていて面白い内容であった。
トヨタはたくさんの失敗を繰り返しているのがよくわかった。
ソフトウェアファーストについて詳しく知りたい方はこちら
OTA(Over-The-Air)の浸透状況

実際にディーラーに持ち込まずにインターネットを用いてソフトウェアを更新する機能のことをOTAと呼称する。(メーカー問わず、OTAと呼称する)
すでにカーナビでは地図の更新にOTAが使用されている。
今後は自動車のソフトウェア更新も可能とした車種も増えてきそうだ。(2021年10月時点)
日産:アリア(https://www.nissan.co.jp/BRAND/INTEGRATION/)
トヨタ:新型LS、新型MIRAI(https://toyota.jp/safety/about/)
メーカー各社は自動運転技術・安全性能で競っている
OTAは主に自動運転技術や安全性能の向上で活用されることになると予想される。
各社メーカーの走行性能差については、ドライバーはほとんど感じることがないほど高い技術が使われている。しかし、自動運転技術や安全性能については開発中であり、まだまだ伸びる分野であるためだ。
よって、各社は新機能の開発が完了したタイミングで、すぐに市場に送り込みたいと考えている。1日でも早く他社より新機能を投入することが求められる。市場からの注目を集めることができるためだ。まさに自動車メーカーは戦国時代に突入している。
自動車の頭脳はカメラECU
自動運転技術や安全性能の向上に一番寄与するのは、カメラECUである。
人間の目に代わってカメラが前方の障害物、歩行者、自転車、車、車線、標識、信号などの様々な状況を認識し、適切な判断を行わないといけない。誤認識するプログラムの修正や、新たな認識対象の追加が行われる。認識対象が増えると、その情報を活用して車の挙動を変更することができる。
OTAの頻度が一番高くなる想定はカメラECUになるだろう。
それに付随して周りのECUも更新されることにはなるが、カメラ以外のECUの更新は基本的には小変更(不具合の修正などを含む)に留まるのでは無いだろうか。
※自動車には無数のコンピューターが搭載されている。それをECUと呼称している。
OTAは市場データを集める機会にもなる
カメラECUをどんどんアップデートすることで、有効性の確認なども市場の車を使ってできる点もメリットである。今までは売り切り型の販売方法だったので、基本的には一度売ってしまうと、ディーラーに持って来てもらわないとプログラムの更新はできなかった。それにはコストもかかるのでなかなか簡単にできない背景があったが、それが簡単に行えるようになる。これはメーカーにとっては大きなメリットになるだろう。
ソフトウェアは決して無料なんかではない
車の所有者にとってはメリットだらけに見えるだろう。しかし、当然ソフトウェア開発には膨大な開発費が必要である。その費用はもれなく所有者が負担することなる。
第4次産業革命では、コネクティッドカーを含めた次世代の開発の多くは「ソフトウェアが中心になる」ということだ。IT人材は世界中で需要が高まっており、ソフトウェアの知識を有していれば10年~20年先までは困らないだろう。
リスキリング(Re-Skilling)やリカレント(recurrent)というワードを1度は耳にしたことがあると思う。共に学びなおしという意味があり、陳腐化している技術、もしくはAIに置き換えられる職業から、成長分野への転職を促すようなものと理解していて問題はない。
ソフトウェア技術者は引き続き新しい分野について学習を行い、挑戦する姿勢が求められる一方で、新たにソフトウェア技術者になろうという努力をすることで豊かな生活を勝ち取るもの良いだろう。
これからもソフトウェアの比重は高まり、需要は高まる一方なのだから。
それでもOTA対応車種を購入した方がよい
前述したとおり、OTA対応車種は通常の車両に比べて高額になる可能性がある。それでもOTA対応車種を購入した方がよい。
安全性が高い
常に最新の安全性能の車に乗れるメリットは大きい。
今までだと買い替えのタイミングまで(だいたい10年間)は購入時の安全性能でしかなかった。
ソフトウェアの世界で10年も経過すると性能差は歴然となる。
環境にやさしい
人によっては最新車種に乗りたいなどの理由から3年、5年で乗り換えを検討されている方がいます。
もちろんそのあと中古車市場に出回るので、そのまま廃車になる可能性は低いが、ひとつのモノを使い続けることにより世界全体で生産台数が減らせれば、生産時にかかるエネルギー負担も抑えられるかもしれない。